今日、顕著となっている超高齢化社会や大災害被害、がんなどの生活習慣病や難治性疾患の増加、分化や高度化に伴った医療費の増大による医療保険の枠組での限界、少子化による医療保険の需要と供給のバランス崩壊などから、個々人による疾病予防・食薬が大変重要となっています。
一般社団法人 日本予防医学推進協会 は「予防は治療に勝る」を是とし、疾病予防・健康増進を包括する統合医療の広義である「社会モデル」に基づいた生活者を中心とした疾病予防の推進・啓蒙活動を通じて「予防医学・代替医療・先制医療」等々を支持すると共に、健康産業の健全な育成・振興を「企業人と医療人との連携」により促進させ、社会生活者個人への啓蒙活動・指導などを行うことで生涯を通じた「生活の質の維持・向上」を目的として設立されました。
本協会は、志を同じくする 「健康産業の企業・個人」「統合医療・予防医学・先制医療等の推進を目指す医療人」「健康志向を高く有する企業・個人」 で構成されています。
先進国の中には既に1990年代から「予防医学」を取り入れている国が多数あります。特に福祉大国と呼ばれる北欧諸国の国民の間では予防医学の考え方が浸透しており、健康寿命延伸や生活習慣病対策が盛んに行われています。
また、予防医学を包括した更に広い解釈に「統合医療」というものがあります。21世紀に入り世界的な傾向として「統合医療」という概念が定着し始め、医療従事者や一般市民の理解も急速に浮上してきています。WHO(世界保健機関)でも、近代西洋医学に基づく従来医療に、伝統医学に基づく医療や代替医療の統合によるQOL(Quality of Life/生活の質)の向上推進と、各国に適応した方法で国の保健制度に組み込むことを提案しています。
統合医療には厳密な定義はありませんが、従来の近代西洋医学を礎とした医療の枠を超越し、その領域外のすべて(代替医療・伝統医療・通常医療と見なされていないヘルスケアシステムなど)の医療を融合させ、患者中心すなわち主役はあくまでも医療の受け手である疾病を抱えた「人」であるとの観点により、広く社会性も考慮した医療を行うものです。
因みに、WHOでは、「Complementary and Alternative medicine/伝統医療」について、「それぞれの文化に根付いた理論・信心・経験に基づく知見、技術及び実践の総和であり、健康を保持し、更に心身の病気を予防、診断、改善、治療することを目的としている。」と定義しています。
「近代医学とその他の療法を組み合わせて行うもの」として世界的に統合医療の概念が具現化していく中、日本では厚生労働省が2012年から「統合医療の在り方に関する検討会」を開催し、統合医療に係る情報発信等推進事業として2014年からは国民に統合医療の正しい情報を発信するデータベース「統合医療情報発信サイト」事業も開始されました。さらに、2016年には厚生労働省医政局に統合医療企画調整室が開設されるなど、政府も動き始めています。
◆ 一般社団法人 日本統合医療学会による見解
統合医療は、“人”がより健康で幸せに生きることを目的にした医療であり、様々な医療を融合し患者中心の医療を行うものです。
科学的な近代西洋医学のみならず、伝統医学と相補(補完)・代替医療、更に経験的な伝統・民族医学や民間療法なども広く検討するもので、その機能機序により、「医療モデル」「社会モデル」が存在します。
◆ アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)による定義と分類
統合医療を「従来の医学と、安全性と有効性について質の高いエビデンスが得られている相補(補完)・代替療法とを統合した療法」と定義しています。
さらに、相補(補完)・代替療法については、「一般的に従来の通常医療と見なされていない、さまざまな医学・ヘルスケアシステム、施術、生成物質など」と定義し、具体的には、以下のような分類をしています。
◆ 世界保健機関(WHO)による「伝統医療」の定義
「それぞれの文化に根付いた理論・信心・経験に基づく知見、技術及び実践の総和であり、健康を保持し、更に心身の病気を予防、診断、改善、治療することを目的としている。」としています。
◆ 厚生労働省 厚生労働科学研究事業
以下表は、2010年度 厚生労働科学研究「統合医療の情報発信等の在り方に関する調査研究」で採り上げられた療法について効果の有無を問わず整理したものです。
<近代西洋医学と組み合わせる療法>
◆ 漢方医学に関する補足説明
※現在、大学での医学教育として、漢方薬に関する教育が実施されています。
※日本医学会の分科会として、日本内科学会などと同じく、日本東洋医学会があり、専門医制度が設置されています。
明治維新以前までの日本は、西洋医学に類しない漢方医学や鍼灸治療などを基にした東洋医学による伝統医療が行われていました。
しかし、維新以後には西洋医学が急速に導入され、日本の伝統医療は衰退していきました。但し、昭和以降になって一部の伝統医療の復活を望む動きが起こり、漢方治療、鍼灸治療などは存在が継続し今日に至っています。
明治以降の大学における教育・研究は西洋医学に基づいて行われたため、医師の資格を持って医療を行う者は西洋医学医療を行い、漢方医や鍼灸師など日本伝統医療の流れを汲む者とは概ね相互の交流はなく、今日まで両者は並存している状態が続いています。しかし、以下のような統合を意図した動きも出ています。
● 昭和58年(1983年)に、鍼灸を専門に研究する初の四年制大学である明治鍼灸大学が設立され(現、明治国際医療大学)、1990年代の同学のスローガンとして「中西医結合」が掲げられています。
● 「国際統合医科学研究・人材育成拠点の創成」と題するプログラムが2005年度の文部科学省科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成プログラム」(通称:スーパーCOE)に東京女子医科大学が申請し採択されたことから、これに基づき国際統合医科学インスティテュート(IREIIMS)が設立され、東京女子医科大学大学院に統合医科学分野が置かれ、医療従事者を対象とするチーム制統合医科学育成コースが設立されました。
● 東京女子医科大学付属東洋医学研究所では、医学生・医師への漢方治療・鍼灸治療の診療を、東京女子医科大学附属青山女性自然医療研究所では、気功治療、ホメオパシーなどの診療をおこなっています。
● 今日では、日本統合医療学会(IMJ)、日本補完代替医療学会(JCAM)、日本統合医療系連合学会(JUAI)などが、統合医療の実現のための教育、研究などを進めています。
統合医療は、西洋医学に補完代替医療を加えることによって、未病からの病気の超早期発見や予防、根治、健康維持の増進などを目指し、医療費の削減効果が期待されていますが、更に具体的かつ最新の医学的見地に基づく先制医療(アンチエイジング医学)が普及し始めています。
他方、日本では通常の西洋医学による医療は健康保険で賄われますが、代替医療の大部分は健康保険が適用されません。統合医療は西洋医学と代替医療の併用を行うため、保険診療と自由診療(保険外診療)を併用する混合診療となるのが理想ですが、「無制限に保険外診療との組み合わせを認めることは、不当な患者負担の増大を招く恐れや、有効性・安全性が確保できない恐れがある」として厚生労働省では2020年3月時点でも混合診療の無制限適応は認められていません。< 厚生労働省サイト参照:保険診療と保険外診療の併用について >
但し例外として、専門家の検討を経た診療行為などに限る「保険外併用療養費制度」の枠組みの中では一部認められるようになっています。これは、医療技術の進歩や患者のニーズの多様化に対応するために、保険適用外の療養を受ける場合でも、一定の条件を満たした「評価療養」と「選定療養」については保険との併用が認められ、保険のワクを超える部分についての差額は自己負担しますが、保険が適用される療養にかかる費用は保険診療に準じた保険給付が行われるというものです。< 保険外併用療養制度について_PDF>
一般社団法人 日本予防医学推進協会
<電話>050-3395-6060 <FAX>050-3588-8510